2022/06/27

シニアの発声訓練こんな事例もあるよという話

こんばんは。

東京、埼玉で活動中。
「日本一踊れる言語聴覚士」
木津玲子です。

 

最近時々
リハビリ中の一コみたいなものを
ここで書くこともありますが

今回もそんなことを
書いてみたいと思います。

 

初めてお会いした時の印象

シニアの方の中で
「声が出しにくい」とか
「長く喋ると息切れしてしまう、疲れてしまう」という方も
中にはいらっしゃいます。

 

私が担当していた方にも
そういう方がいらっしゃいました。

 

ご本人からの訴えは
「長く話すと疲れてしまって
ちょっと息苦しく感じる」
というもの。

お会いすると
血液中の酸素濃度は異常なし
短い会話であれば息苦しさなどはない。
「あ」を一息でどこまで長く言えるか、という
チェックでも問題なし。

 

1分間の呼吸数は
ちょっと多いかもなぁ…という程度。

 

ご本人いわく
「歳のせいで、自分の呼吸する力が
弱くなっているから、長く話すと疲れたり
息苦しくなったりするんだ」と
色々と調べて、独自の自主トレを
かなりたくさんやっていらしたそう。

 

そこから気がついたこと

その後この方に
深呼吸などを何回かしていただきました。

 

そうすると
いわゆる肩で呼吸する傾向が強く
呼吸が浅い

というのがすごく特徴的でした。

呼吸中の肩の動きは多かったものの、
いわゆる「胸を開く」という動作が
まったく、というのに近いくらいみられなかったのです。

私たちは、大きく息を吸うときに
肺が膨らみ、
息を吐くときは肺は萎みます。

 

そういった動きをやりやすくするために
肋骨周りの動きがあったりするのですが、
その方の場合はその
肋骨周りの動きもほとんどありませんでした。

 

そこから何を感じて何をしたか

まず、肩で息をするような傾向が
とにかく強かったので、
その方は日常的に肩まわりに力が入り
肩が上がったような姿勢になっていました。

 

そして、上半身がいわゆる
「猫背」のように肩が大きく
前に入っていました。

 

なのでまずは肩まわりの力みを抜いていく
ということを大事にしながら、
もっと肋骨周りの動きを引き出したかったので
肩まわりや鎖骨周り、脇腹などのリラクゼーションを
徹底的に行うことにしました。

 

一旦ガチガチになってしまっていた
様々な場所の力を抜きたかったので、
これまでご本人がやっていた数多くの自主トレを
2ヶ月ほど全てやめてもらいました。

 

自主トレをやめるっていうのは
もしかしたらご本人的に不安もあったかもしれません。
なので、息苦しくなるのは
筋力や肺活量などがないからではなく
自主トレなどをたくさん頑張ってきたけれど
体が頑張りすぎてしまっていたのかも、という話も
いろいろと表現を変えながらさせていただきました。

 

実際にこの方
すごく真面目なタイプの方だったのです。

 

自主トレを一度やめてもらい
約2ヶ月、身体の力や硬さを抜いていくということに
集中して取り組んだところ、

ちょっと長い会話の中でも
息苦しさを感じることは
段々となくなっていて、

声の大きさも安定してくるようになりました。

 

あと嬉しかったのが
その方が今まで「苦しくなるから」と
あまりしなかった「人と喋ること」が
楽しくなってきたと教えてくださってこと。

 

やはりシニアの方なので
人と話すことがしんどくなると
どんどん内にこもってしまいがちになるのですが

そうやってまた人と話すことが
楽しくなってくださったというのは
本当に嬉しいです。

 

最後に

「声が出にくい」となると
とにかく大きな声を出すための練習というように
すぐに考えがちになるのですが

 

逆に呼吸することや話すことに必要な筋肉を
使いすぎてしまうことで
声が出にくくなってしまうというケースもあります。

 

何を先に考えて
アプローチをすると良いのかということを
全身を見ながら把握していかなきゃいけないな、と
改めて感じた方でした。

 

ちなみに
そういった力を抜くために
具体的には何をしたのか、という話は
LINEの方で裏話を書こうかなと思っています。

 

よかったらお友だちになってくださいね。

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